我国最初の梅花図譜
「梅品」
  松岡玄達著 宝暦十年刊
 
 室内に取り入れた枝垂れの盆梅「藤牡丹」が清香を放ち、心を豊かにしてくれている。

 ウメは万葉時代既に我国へ中国から渡来し薬用、食用そして観賞用として各時代に珍重され、多くの人々に楽しまれ愛された。

 さて今回ご紹介する「梅品」の著者は、江戸時代中期の本草学者、松岡玄達著、宝暦十年京都で刊行されたウメの図譜であり、品種解説書である。上下二冊、上巻に主として白色花を、下巻に紅色と雑色を集録する。
 記載品種白梅類は次の通りである。
早梅 江梅 照水梅 消梅 緑尊梅 黄香梅 鶴頂梅 宮城梅 玉蝶梅 杏梅 冬梅 三品梅 臥梅重葉梅 淡青梅 尋来梅 鴬舌梅 清見寺 銀梅浅香山 冬咲八重 軒端梅 垂枝梅 嶋梅 西行梅八梅 飛梅 六代梅 海棠梅 以上二十九種、
下巻紅梅種には、鴛喬梅 麗枝梅 六雛梅 紫梅 寒紅梅 八朔紅梅 江南 出羽大輪 朱梅 碁盤梅 未開紅 ?梅 鈴紅梅 匂梅 匂紅梅 楊貴妃 奈良緋梅 櫻紅梅 冬至梅 茶布梅 難波梅 東福寺叡山紅梅 行幸 縮緬紅梅 その他雑色種として、黄梅黄金梅 常梅 五色梅 二色梅 墨梅 以上三十一種 
梅類として蝋梅 雀梅ニハウメ 喜梅ニハサクラ 契梅 楊梅ヤマモモ
茶梅サザンカ 裏梅ムクゲ 金梅ビヤウヲトギリ 石梅ウミウメ 等の記載がある。

例えば、
早梅 和名ハヤザキ
梅譜(中国苑大成著)二曰ク早梅花直脚梅二勝ル呉中春晩ニ二月始テ爛漫独リ比、品冬至前二於己二開ク故ニ名ヲ得(以下略) そして、○達按ルニ、早梅信濃梅ヨリ花大ニシテ早開ク故ニ実ヲ結ヒ難シ 中梅ニシテ白花単弁也 又早梅一種冬咲トテ梢ニ三輪開キ春二至テ尽ク開クモノアリ 又群芳謙果部ニ四月熱スルモノヲ早梅卜名クトアリ是実ノ早ク熟スルヲ云 梅譜ノ早梅ハ花ノ早ク開クヲ云。