サクラソウ名品集
「櫻草勝花品」
  坂本浩雪著 天保六年閏七月
 
著作者は坂本浩雪、天保六年閏七月、著者本人の自筆本である。
 先ず序を紹介しよう
「桜草  漢名不詳 蠻名スレウデルブルーム 桜草近年種類甚ダ多シ好事者ハコレヲ翫賞ス 新奇花ヲ生出シ勝ト為ス 故二年ヲ逐ッテ名花多ク生ズ 今図スル所者真二 千百之一ニヤ (読下し送り仮名著者補)天保六年閠七月既望
   青蒼薬ショウ蕈溪主人識 印 」
参考=青蒼薬ショウ蕈溪 (ヤクショウシンケイ) (浩雪の別号)

 図は上下二冊合計八五種、一夏一図、丁寧な作図である。全て名称入、当資料の中に「極黄」と名のある純黄の記載があり、日本サクラソウに黄色花の存在が珍しく、研究者の注目するところである。著者については、本草家であり画家でもあった。特にサクラの絵を得意とした。寛政十二年生、嘉永六年没 五四才。和歌山藩医坂本純庵の長男 長じて親と曽槃に本草学を学び摂津高槻藩に禄仕 誌も良くした。