ナデシコ独特の位付、品種名、花色花形の説明、出品者名を記載
「爲御覧瞿麦変草変花」
  (ごらんのためなでしこへんそうへんげ)
  杏葉館 瀑布亭   天保九年刊
 
  天保九年(1837)閏(うるう)四月二十七日、会場杏葉館。同年五月七日、会場瀑布亭。この二日間二会場での出展されたナデシコ類の花合(品評会)の位付け見立番附であると同時に秀花の記録簿でもある。
 四月二十七日
   ▲印、出品者六名 鉢数67鉢
 五月七日
   ●印 出品者七名 鉢数35鉢

位付けは、惣太極、大極、天真、神花、精妙、稀世、獨歩、魁首、抜萃、出格、完備、の十一段階。花形咲方は薊咲、車咲、鍬形、爪実、系咲、釼先、爪白、覆輪、蝶咲に区別している。

 出品者別出品数は、多い順に朧月庵▲15●9、杏葉館▲12●9、朝花▲11●4、瀑布亭▲8●5、陶呉園▲0●11、竹林▲7●4、梅園▲3●5、以上の内訳となり、総鉢数は102鉢である。

東大関  惣太極 玉冠
  白蝶サキボタンカハリ草  杏葉館
同関脇  天真 蜃気楼
  薄紫蝶咲碇マジリ      梅園
同小結  天真 駒止 
  極黒紫白筋入蝶咲針先自裏白カハ
  リ草           杏葉館
西大関  大極 麒麟角
  紅爪実牡丹度咲       朝花
同関脇  天真 いざさらば
  紫五弁三枚ヅツ切車咲   陶呉園
同小結  天真 鏡山 
  白糸釼先ボタン度咲片筒割 朧月庵
 
 右のように相撲見立でありながら、ナデシコ独特の位付、そして品種名、花色花形の説明、出品者名を記載してあり当時の流行の花色花形など理解するに好資料である。