独創的な奇品園芸の発展を知る資料
「草木奇品家雅見」  (そうもくきひんかがみ)
  増田繁亭、通称金太の編著、図は大岡雲峰、関根雲停、石川碩峯ら
  文政十年 (1827)
 天地人三巻、文政十年 (1827)江戸青山の種樹家(園芸家)増田繁亭、通称金太の編著、図は大岡雲峰、関根雲停、石川碩峯らが描いた。

 内容は当時江戸在住の園芸愛好家九十名の栽培植物の内、頼人、綴化、帯化、ねじれ、矮化など奇形異品を集め、其の出現の来歴を述べている。

図入紹介種は五一二種、文中、番附などのを含めるとどれ程の数になろうか。比較的記載品種数の多い種類を拾い出して見る。

 常緑樹 マツ、マキ、ヒノキ、ヒバ、スギ、ナギ、シイ、ツバキ、サザンカ、ナンテン、マンリョウ、カラタチバナ、タケなど。
 落葉樹 カシワ、クワ、モミヂ、ウメ、サクラ、モモ、ボタンなど。
 宿根草 オモト、イワヒバ、マツバラン、セキショウ、ヤブコウジ、シャクヤク、フクジユソウ、ランなど

 当時の渡来種、サボテン、キリンカク(ユウホルビア)、フソウカ(ハイビスカス)、ムラサキオモト、トケイソウなど。

 写真で紹介している右上には「斑入ふさう花」 近来花の変り所々より数種出る 駒込うつみやしき長左ヱ門出は 花ひとえにて斑まわりよく美事なり」左端上の因は「三五郎まき」まきはその葉ほそくはりのごとしよって針葉槙と号す 此類みな小鉢に植てあいすへき品なり」 以上のような文体で五百種以上が記載されている。

 江戸時代後期の独創的な奇品園芸の発展を知る資料の一つである。