書名 : 杜若(謡曲) かきつばた
冊数 :
別書名:
著編者名 : 世阿弥//〔作〕
出版年 : 1464 寛正5年
注記 : 本曲は伊勢物語第九話(東下り)を題材とした
曲で、そこに登場する杜若を主人公とし、さらに同物語
の著名な文章を引用することで、全体に王朝文化の気品
が漂う、格調高い作品に仕上げている。
(本書は明治期のものより抜粋)
      (前略)
伊勢物語りにいわく
三河の国八橋といひけるはふ所
に至りぬ
ここを八橋とは
水行く河の蜘手なれば
端を八つ渡せるなり
その澤にかきつばたいと面白く咲けり
ある人このかきつばたという
五つ文字を句の上におきて
旅の心を読めといいければ
唐ころも着つつ馴れにし妻しあれば
はるばる
来ぬる旅をしぞ思う
これ在原の業平の
この杜若を読みし歌なり

(摺りきれた着物の褄を見るにつけ、
都にいる妻の事が懐かしく思い出され、
遠くまで旅をしてきたとしみじみ感じら
れる)

(後略)


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