書名 : 万葉和歌集校異 まんようわかしゅうこうい
冊数 :   
別書名 :          
著編者名 : 大伴家持/〔詠〕
出版年 : 744 天平16年
注記 : 第17巻内、大伴家持が同年に詠んだ6首の内の1首
本書は江戸時代の写本 他6首にカキツバタを詠んだ和歌が
見られる

カキツバタの文字として
 加吉都播多、垣津幡、垣幡垣津旗がみられる。
 
掻付花(かきつけばな)転じてカキツバタとなった。当時は
カキツバタの花の汁を衣服に押しつけて染めたので「かきつけばな」
と呼んだ。

出版年欄の天平16年は、万葉集の出版年ではなく大伴家持の
作年を示す

ちなみにハナショウブは、
をみなへし咲く沢に生ふる花かつみ、かつても知らぬ恋もするかも
「花かつみ」の名で1首のみでてくる。
画像 :
かきつはた衣に摺りつけ大夫(ますらお)の
  着襲(きそ)ひ狩する 月は来にけり


右六首の歌は、天平十六年四月五日、独り平城の故郷の旧宅に
居りて作る。大伴宿禰家持作

杜若の花を衣に摺り付けて、ますらお達が(その紫の衣を)重ね着して狩をする月がやってきたのだ。

 歌中の「狩」とは薬狩のことで、五月の節句に狩の衣服を整えて山野に出て薬草を採集する行事のこと。

1345 1361 1986 2521 2818 3052
注釈 1345 常ならぬ人国山の秋津野(あきつの)の
      杜若をし夢に見
しかも

1361 住吉(すみのえ)の浅澤小野の杜若
      衣に摺り著(つ)け
著(き)む日知らずも
         それでカキツバタ名はカキツケバナ(掻付花)から
         転じたとされています

1986 吾のみや斯く恋すらむ杜若
      丹(に)づらふ妹は如
何にかあらむ

2521 杜若丹づらふ君をいささめに
      思ひ出でつつ
嘆きつるかも

2818 杜若佐紀(さき)沼の菅(すげ)を笠に縫ひ
      著む日を待つに
年ぞ経にける

3052 杜若佐紀澤に生(お)ふる菅(すげ)の根の
      絶ゆとや君が
見えぬ此の頃

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