|
|
著者は法橋(ほうきょう)(画家や医師に授けられた位)橘保国(たちばなのやすくに)。大阪の人、宝暦五年大阪心斎橋、渋川清右衛門によって版行された。五巻五冊 著者の叙文次の通り
四時行はれ百物成る中に山原水澤の草花愛すべき物若干各色を競小て輝?たり かの渕明(えんめい)が菊を愛し茂叔(もしゅく)が蓮を愛するの類は其操をとりて必艶をとらず是賢者の物を翫ふは志を表はずして真に愛すれば也
予家世々画を?み筆を取て恒の産とす 依て今草花を図せんと欲して或は山野に逍遥し 或は樹家に徘徊して見る所の花を携へ葉を袖にして其名を尋て真偽を弁し 漢名に至ては本草、三才図会に依て是を訂し 新花の如きは出処を追ふて名を記す爰 に其佳なる物数十種を接写す 題而書本野山草といふ
今幸に渋川氏の需に應じて梓に鏤聯(ちりばめいささか)童蒙(どうもう)の便りとす 只?草花は風土の寒暖肥痩によりて国々の形容同しからず花葉ともに異なり今図する所は目のあたり喋る所を是とする而巳巻を開く徒是を見ふせば幸ならむ。 浪華法橋 保国
本文は各巻二十丁前後、草木は線描によって画かれ各々の植物の特徴をよく表現している 序文にもあるごとく外来植物を取り入れ、銀銭花、らんぎく(だんぎく) 午時花(ごじか) 夕錦(おしろいばな) 羽衣草(のこぎりそう) 紅黄草(マリーゴールド) 鬱金(うこん) 立葵(ホリホック) 時計草 千日紅 あらせいとう(ストック) 日車草(ひまわり) 美人草(ポピー)鳳仙花 べにのはな 朝鮮(ちょうせん)蕣(あさがお)(一年草ダツラ) 貴船菊(八重咲しゅうめいぎく)などである。
|
|