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「有毒草木図説」と対をなす書物である。編著者は当時江戸、京都と並本草学の盛んな地であった尾張地方のまとめ役でもあり、指導者の一人でもあった 清原重巨である。
文政十年 名古屋の書肆、永楽屋東四郎刊、天地人三冊全九七丁 和文かな混り、漢字には全てルビをつけた。内容は二八名の解説者による四五種の草木の性質特徴を解説し図も附している。
序文を紹介しよう
「鄭子産曰人心之不同如其面異是故に人の平生嗜む所も亦同しからす
琴詩酒點茶園碁各其性の嗜む所に随て人情を楽ましむ 予性の嗜む所もとより
草木にあり夫草木は無情なりといへとも更る更る栄衰して四時盡ることなレ
賞せすむはあるへからす是を以て我友となし庭園に培植し我師となして
瓶甕に盛貯す これを師事にして其間に遊息すといへともいまだ迷意を暢舒するに
足らず是をもって山林藪澤を経歴して楽を窮む故に多年検閲する所の艸木其性質
竒異なろ者を摸写して性譜と號し、並に有毒草木図説を輯録して其末に贅志て
以て吾黨の童蒙を諭す 然れとも不按 歳より官 に在て螢雪の勞を積に
遑あらされは文舜の鄙拙杜撰の罪を論すべからす 後の君子其漏脱を補修し
其差舛を校訂せは幸これより大んまるはなからむ」
文政六年癸未中秋
張府 舎人清原重巨 詩 とある。
解説された植物で外来植物として当時珍しかったと思われるものに、仙人掌(サボテン)、龍骨木(キリン閣)、落花生、建蘭、玉蜀黍(トウモロコシ)、甘蕉(サトウキビ)、榕樹(アコウ)、木蘭(モクレン)などがある。
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