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怡顔斎とは江戸中期、京都を中心に活躍した本章学者松岡玄達の号である。彼が宝暦八年に著作した書物であるが、本書は出版されず写本によって伝わる。内容は題名の示す通り果ものについて各々の種類に多くの品種が記載されて当時の栽培品種並に技術を知る好資料の一つである。
例えば秋の果ものの王者カキについて品種は、八重柿(柿の字は略す)火珠 冨二 塔 著蓋 西条 貌附(ハツキ) 稗 伽羅 漆 鳥ノ子 山本 柑子 フジ 長ケン寺 タツ タクラ クハズ イダニ ナリヒラ マメ ヤタラウ ?丹 蓮花 鳥 坐砂丹などである。
又、接木について次の説明がある。
柿樹三タビ接レバ無核卜 始疑之今処々ニ頂妙寺方柿家コトニ接キソノツギ木ノツギ干ホヲ又他ニ接グ幾タビモツゲ然レドモ有核訝シキ也 古人ノ説不足信卜思シニ、三接卜云義ノ取様疎ナルユヘナリ 三度ツゲニアラズ台ヲ何ニモアレ他ノ木ヲ接ギ台ニシテ又中二他木ノ枝ヲツギソノ上ニ又他ノ木ヲ接事ナリ
つまり四段接となし、中間台を二種いれることにより無核(たねなし)となると説明している。誰れか実験されることを望む次第。
この他瓜類、番椒(トウガラシ)、蕃柿、天茄(蕃柿天茄の二種はトマトらしい) 宇田(ヤマ)薯(イモ)、芋、白芋、クハズ芋まで仲間として加えられている。
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