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花魁は梅、花王は牡丹、花相とは宰相を指し、牡丹の王に対する謙譲を意として芍薬に与えられた。花鑑とは鏡に通じ図譜を指すこともあるが、花の本質を語ることも意味する場合もあり本書は後者に該当する。
さて本書の著者は耽花居士なる人、序に安政二年卯月とありおそらく同年に出版されたと思われる。天地十七p、幅八pの小形の折帖本ながら、小さな文字で印刷されていて情報量は以外に多い。
内容は「芍薬が三十年四十年以前から大流行しているが、その品位を諭した書物がないので花相園の主とそのことを話し合って今回一巻の書として発表したい」との意味の序があり、本文では花の各器官のあり様観賞の本質を表現しているのでその一部を紹介する。
○花形…蓮花形あり風情ありて最上の品なり梅花形あり盃をならべたる形にて至て上品なり(中略)
○葩形…玉抱あり上品なり(中略)
○蘂・しべはいかにも多くたっぷりとして実をかくすを好む 少なきは下品なり 金蘂上品なり大しべ小しべ抱しべ乱しべこれに続き 錦蘂中品なり 糸しべやさし (中略)
○葉…葉は人の目をとめざるものなれど花の風姿をそへも そこねもするものなり あまり葉の大きなるはいやし(中略)
○茎…くきは太きよりほそきを愛す されどあまりにほそきは花ふして見にくし(中略)
花品位号 至極 玄? 神竒 秡萃 希世 絶倫 出群 愛観 應憐 以上
九段階の名称とその位とする内容を詳細に記し、当時の日本人の花に対する品位を重んじたことに注目したい。
本書は国書総目録によれば京大図書館に写本一書あるのみで刊本は逸書とされていたが、天下の孤本とも考えられる。
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